研究課題/領域番号 |
08457125
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50143178)
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研究分担者 |
北村 明彦 大阪府立成人病センター, 集検I部, 診療主任
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80227214)
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キーワード | 頸部エコー / 動脈硬化 / 地域住民 / 心筋梗塞 / 血漿フィブリノーゲン / リスクファクター / 疫学研究 |
研究概要 |
I.一般住民の59-69歳男子を対象に、都市部として大阪府S市の446名、農村部として秋田県I町の258名について、循環器検診時に頸部エコーを実施した。そして総頸動脈の内膜・中膜複合体(IMC)の厚さ・狭窄度、総頸動脈から内頸動脈にかけてのPlaque数(IMCが1.1mm以上の部位)、左右頸動脈のPlaque厚の総和-Plaque Score(PS)、及びPlaqueの性状として繊維化・石灰化の有無を動脈硬化の指標とし、両集団間の比較、及び他のリスクファクターとの関連を検討した。その結果、都市、農村のいずれにおいても、IMCの厚さ、Plaque数、PSは、動脈硬化に関連するリスクファクターである血清総コレステロール値、血糖値、喫煙習慣、年齢、血圧値との正の関連が認められた。都市と農村を比較すると、血圧レベルの高い農村の方が、血清総コレステロールレベルの高い都市に比べて、IMC厚は有意に厚く、50%以上の狭窄を有する者の割合も高率であった。また、高血圧性変化と考えられるPlaqueの繊維化・石灰化を認める頻度も農村の方が都市よりも有意に高かった。以上より、頸部エコーは在来の生活習慣の影響が残る農村集団においても、血管病変を検出するのに有用であると考えられた。さらに四国農村部のN町の55-75歳男子119名についても同様の検討を行い、現在結果を解析中である。 II.大阪府立成人病センターに入院した早期の心筋梗塞患者169名と、性・年齢をマッチさせた大阪の一般住民集団の中から、1対1で抽出した対照者に対しフィブリノーゲンを測定し、比較した。さらに、大阪府下の2事業所の40-59歳男子995名に対しフィブリノーゲンを測定し、他のリスクファクターや食習慣調査成績との関連を検討した。 心筋梗塞患者のフィブリノーゲン値の平均値は、男女とも対照群に比し、有意に高値であった。この差は喫煙量、高血圧、血清総コレステロール値、HDL-コレステロール値を調整しても有意であった。以上の結果から心筋梗塞の発展に血漿フィブリノーゲン値が関与することが示唆された。
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