神奈川県内の某運輸系企業において1995年の成人病健診を受診した30歳以上の男性社員1803名を対象とした。胃切除者、胃がん検診未受診者、および胃がん検診においてびらん、炎症、胃潰瘍以外の所見を認めた者を除外し、さらに問診票の記入に不備のあった者を除外した結果、解析対象者は981名となった。 1995年の成人病健診を受診した際に血清を採取し、血清抗ヘリコバクター・ピロリ-IgG抗体価(抗HP抗体)、血清ペプシノーゲン値(PG)IおよびII、血清ガストリン値(GAS)を測定し、PGI/PGIIを算出した。抗HP抗体は判定(+)以上を有所見とした。他の4項目は、各々の中央値において2群に分類し、PGI、PGII、PGI/PGは中央値未満を有所見、GASは中央値以上を有所見とした。説明変数として、年齢、喫煙、飲酒、運動、睡眠、食生活(主食、味付け、肉類、卵、魚類、野菜、果物、甘い物、油濃い物、インスタント食品、外食、コーヒー、ジュース、間食)、胃部所見、十二指腸所見をカテゴリー変数として使用して、ステップワイズ法を用いた選択的ロジスティック回帰分析を実施した。この時、各説明変数の基準カテゴリーを定め、その説明変数の各カテゴリーの基準カテゴリーに対するオッズ比と95%信頼区間を求めた。 分析の結果、抗HP抗体では高齢、魚類摂取、コーヒー摂取、胃部有所見で高いオッズ比を示し、高度喫煙、野菜摂取で低いオッズ比を示した。PGIでは果物摂取で高いオッズ比を示し、40〜40歳、50〜59歳、および十二指腸有所見で低いオッズ比を示した。PGIIでは年齢、胃部有所見で低いオッズ比を示した。 PGI/PGIIでは高齢、魚類毎日摂取で高いオッズ比を示し、喫煙、飲酒、魚類少量摂取で低いオッズ比を示した。GASでは高齢、中等度喫煙で高いオッズ比を示し、甘い物摂取で低いオッズ比を示した。
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