研究課題/領域番号 |
08457143
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
嵯峨井 勝 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (80124345)
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研究分担者 |
たか野 裕久 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (60281698)
市瀬 孝道 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (50124334)
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キーワード | 気管支喘息 / ディーゼル排気微粒子(DEP) / 好酸球浸潤 / 粘液過剰産生 / 気道過敏性 / IgG1 / IgE / サイトカイン |
研究概要 |
先に、我々はディーゼル排気微粒子(DEP)をアレルゲンとともにマウスに気管内投与すると、好酸球の浸潤を伴う慢性的気道炎症、粘液の過剰分泌および気道過敏性の亢進等の気管支喘息の基本的病態が発現することを見いだした。この時、従来のIgE抗体と肥満細胞が関与するI型アレルギー反応は認められず、IgG1の著しい増加が観察された。今回、このIgG1抗体増加ならびに喘息様病態発現の再確認と病態発現のメカニズムを解析することを目的に、IgE高産生系のBALB/cマウスとIgG1高産生系のC3H/He系マウスにDEPと卵白アルブミン(OA)を繰り返し気管内投与した。DEPは0.1mgを毎週一回ずつ6回、OAは最初にアラムと共に1mgと腹腔内投与し、6週目に1%OAミストとして6分間吸入させた。その24時間後に気道過敏性測定してから屠殺した。 その結果、好酸球浸潤、粘液過剰分泌および気道過敏性はC3H/Heマウスで顕著に増加し、BALB/cマウスではほとんど変化しなかった。この時、血清中IgG1抗体価は両マウスとも著しく増加していたが、IgE抗体価は全く増加していなかった。また、肺組織内のサイトカイン濃度を測定したところ、C3H/He系マウスのIL-5とIL-2の増加はBALB/cマウスでの増加に比べると著しい増加であった。さらに、慢性気道傷害を起こす好酸球の浸潤はリンパ球浸潤、粘液産生細胞数、IgG1抗体価、IL-5およびIL-2との間に極めて高い相関が認められたが、IgEおよびIL-4との間には全く相関は認められなかった。 これらの結果から、喘息様病態の発現には、IgEの増加ではなく、IgG1の増加とIL-5,IL-2等の好酸球の遊走と活性化に関与する因子の増加が必要と思われる。
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