研究課題/領域番号 |
08457146
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大島 徹 金沢大学, 医学部, 教授 (40183024)
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研究分担者 |
大辻 雅彦 金沢大学, 医学部, 助手 (70293339)
権 稔和 (近藤 稔和) 金沢大学, 医学部, 講師 (70251923)
高安 達典 金沢大学, 医学部, 助教授 (80154912)
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キーワード | 法医病理学 / 損傷治癒 / 生活反応 / 受傷後経過時間判定 / IL-1bmRNA / TNFamRNA / PT-PCR法 / in situ ハイブリダイゼーション法 |
研究概要 |
本年度はマウス皮膚損傷治癒課程における損傷部皮膚でのinterleukin-1b(IL-1b)mRNA及びtumor necrosis factor-a(TNFa)mRNAの経時的な変化及び組織切片における局在を検討した。 【材料と方法】 8週齢雄性マウスの背部皮膚に切創(長さ2cm、深さ1mm)を作成し、受傷跡1〜240時間目まで経時的に損傷部皮膚を採取した。これら皮膚試料中のIL-1b mRNA及びTNFamRNAの発現量は、RT-PCR法を用いて評価した。また、採取した皮膚片のうち受傷跡3〜144時間目までのものに関しては凍結切片(10μm厚)を作成し、in vitro transcriptionにより合成したIL-1b mRNA及びTNFamRNAに対する各cRNAをプローブとして、in situハイブリダイゼーションを行った。 【結果と考察】 皮膚損傷部におけるIL-1bmRNA及びTNFamRNAの発現量は、受傷後比較急激に増加し72時間目にピークに達した。その後漸減し、受傷後240時間目には健常レベルに回復していた。組織切片におけるIL-1b及びTNFamRNAの局在は、受傷後6〜24時間で創縁の近傍に遊走する多形核の細胞(好中球)、24〜144時間で大型の単核球(マクロファージ)、72〜144時間で紡錘形の細胞(線維芽細胞)に各々観察された。以上の成績から、損傷部皮膚でのIL-1bmRNA及びTNFamRNA発現量の増加は、主に、受傷後、創縁近傍に遊走・集簇する細胞におけるIL-1bmRNA及びTNFamRNA産生を反映した、損傷部局所における生活反応であることが示された。したがって、IL-1bmRNA及びTNFamRANを検出することが、法医実務における受傷後経過時間の判定、あるいは生活反応の有無の判定上、有用であることを示唆している。
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