シェ-グレン症候群の分子機構-自己反応性T細胞と自己抗原の解析-

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08457157
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 聖マリアンナ医科大学
• 研究代表者: 住田 孝之 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (00183054)
• キーワード: シェ-グレン症候群 / T細胞レセプター / 自己反応性T細胞 / 自己抗原 / 自己免疫疾患

研究概要

シェ-グレン症候群(SS)の各臓器に浸潤したT細胞は抗原を認識し誘導される。その対応自己抗原をアミノ酸レベルで明かにすることはSSの病因を解析するのみならずアナログペプタイドを用いたSSの特異的制御を可能とする上で重要である。本研究では、SSの口唇唾液腺(LSG)内浸潤T細胞の対応抗原を次の三つの方法で解析した。1)口唇唾液腺よりT細胞ラインを樹立し細胞増殖反応にて対応抗原を解析する方法。2)SSCP法によりT細胞クローンを指標として抗原を選定する方法。3)LSGにユニークなTCR-CDR3領域の蛋白をプローブとしSGから作成したcDNAライブラリー由来の蛋白をスクリーニングするWest-Western法。その結果、1)Ro/SS-A52kD蛋白のDEREQLRILG(AA203-212)、TCRBV6S7のWAEILRIGRVおよびHSP10/60のWVNMLRRGIが浸潤T細胞の認識するT細胞エピトープであることが判明した。2)サイトカインの産生パターンから、TCRBV6S7は、調節性T細胞エピトープとして、一法、HSP10/60は自己免疫発症誘導エピトープとして機能している可能性が示唆された。3)West-Western法を用いた抗原解析結果から、唾液腺型αアミラーゼが唾液腺特異的な自己抗原として働いている可能性が強く示された。今後、これらのアミノ酸が、in vitroさらにはin vivoにおいて、どのような機能を担っているかを明らかにすることにより、ワクチネーションなどによる、自己免疫疾患の特異的制御が現実のものになると思われる。

研究成果

• [文献書誌] Matsumoto,I.,et al.: "Common T cell receptor clonotype in lacrimal glands and labial salivary glands from patients with Sjogren's syndrome." J. Clin. Invest.97. 1969-1977 (1996)
• [文献書誌] Furukawa,M.,et al.: "T cell receptor repertoire of infiltrating T cells in lachrymal glands,salivary glands,ang kidneys from alymphoplasia (aly) mutant mouse-a new model of Sjogren's syndrome." Br. J. Rheumatol.35. 1223-1230 (1996)
• [文献書誌] Sumida,T.,et al.: "New T-cell epitope of Ro/SS-A 52kD protein in labial salivary glands from patients with Sjogren's syndrome." Lancet. 348. 1667 (1996)
• [文献書誌] Sumida,T.,et al.: "T cell receptor of Fas-sensitive T cells in labial salivary glands of patients with Sjogren's syndrome." J. Immunol.158. 1020-1025 (1997)
• [文献書誌] Sumida,T.,et al.: "T cell receptor of Fas-sensitive T cells in rheumatoid synovium." J. Immunol.158. 1965-1970 (1997)
• [文献書誌] Sumida,T.,et al.: "T cell receptor in Sjogren's syndrome." Br. J. Rheumatol.(in press).