研究課題/領域番号 |
08457162
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横須賀 収 千葉大学, 医学部, 講師 (90182691)
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研究分担者 |
江畑 稔樹 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (20280919)
田川 まさみ 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (90261916)
今関 文夫 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (40223325)
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キーワード | 劇症肝炎 / A型肝炎ウイルス / 塩基配列決定 / ウイルス変異 |
研究概要 |
近年の衛生環境の改善により地域流行性のA型肝炎はみられなくなっているが、散発性のA型肝炎は決して減少していない。むしろ近年、A型重症肝炎や劇症肝炎は増加する傾向さえみられる。これらのA型重症肝炎や劇症肝炎は間者側の要因のみならず、A型肝炎ウイルス株の違いによる可能性も考えられる。本研究の目的は、A型劇症肝炎におけるウイルス側の要因について明らかにすることである。これまで数種のA型肝炎ウイルスの全塩基配列が報告されているが、A型劇症肝炎患者由来のウイルス株の遺伝子塩基配列については未だ明らかにされていない。これまでの研究により我々はReverse transcription (RT)-PCR法を用いて、患者血清から高感度にA型肝炎ウイルスRNAを検出しうる方法を確立した。今年度の研究により我々は20例のA型急性肝炎、5例の劇症肝炎、5例の重症肝炎患者由来の保存血清から、RT-PCR法によりA型肝炎ウイルス遺伝子を増幅した。またこれらのPCR産物について、SSCP法を用いて検討し、急性肝炎由来のウイルスでは多様な泳動パターンがみられるのに対し、劇症肝炎、重症肝炎由来のウイルスでは同一の泳動パターンがみられる傾向のあることを明らかにした。さらに5′非コード領域の塩基配列を決定し、急性肝炎ではウイルスの核酸配列がさまざまであるのに対し、劇症肝炎ではその配列が類似していることを明らかにした。このことから、特定の塩基配列を有する株が劇症肝炎において認められる可能性が示唆された。今後、構造蛋白領域を含むウイルス全領域における塩基配列決定を行ない、劇症肝炎由来と急性肝炎由来のウイルスとの異同について明らかにするとともに、このようなウイルス変異の生物学的な意義について検討する予定である。
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