研究課題/領域番号 |
08457162
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横須賀 収 千葉大学, 医学部, 講師 (90182691)
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研究分担者 |
田川 まさみ 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (90261916)
今関 文夫 千葉大学, 医学部, 講師 (40223325)
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キーワード | A型肝炎ウイルス / 劇症肝炎 / 変異 / 塩基配列 / A型肝炎 |
研究概要 |
本研究の目的は、A型劇症肝炎におけるウイルス側の要因について明らかにすることである。昨年度の研究により我々はA型急性肝炎および劇症肝炎重症肝炎患者由来の血清から、A型肝炎ウイルス遺伝子の5´非コード領域の塩基配列を決定し、急性肝炎ではウイルスの核酸配列がさまざまであるのに対し、劇症肝炎ではその配列が類似していることを明らかにし、特定の塩基配列を有するウイルスが劇症肝炎の発症に関与している可能性を示した。平成9年度においては引き続き、A型肝炎ウイルスの構造蛋白領域(791aa)における塩基配列決定を行ない、劇症肝炎由来と急性肝炎由来のウイルスとの異同について検討した。劇症肝炎3例、急性肝炎3例の血清によりLongRT-PCR法を用いて、構造蛋白領域を含む3188bpと非構造蛋白領域を含む4688bpを増幅し、TAcloning法にて各々5個のcloneを得た。このうち劇症肝炎2例、急性肝炎3例似つき、Dye terminator法によりCycle sequnce反応を行ない、Autosequencerで塩基配列を決定した。得られたウイルスのgenotypeは劇症肝炎、急性肝炎ともにgenotype1Aであった。構造蛋白領域においては5´NTRに比して、劇症肝炎、急性肝炎由来のHAVに著名な差異はみられなかった。また培養細胞において報告されている細胞障害性ウイルス株にみられる変異は今回検討した領域では認められなかった。現在非構造蛋白領域についても塩基配列を決定中である。現在、ウイルスの3´非コード領域をクローン化中でもあり、A型肝炎ウイルスの全塩基を有するクローンを作成中である。今後このクローンを用いて肝細胞由来の細胞株に遺伝子を導入し、ウイルス複製の増強の有無、肝細胞毒性について検討し、ウイルス変異株の生物学的な意義についても検討する予定である。
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