研究課題/領域番号 |
08457164
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 千史 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60154069)
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研究分担者 |
黒崎 雅之 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10280976)
榎本 信幸 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20251530)
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キーワード | C型肝炎ウィルス / インターフェロン / 慢性肝炎 |
研究概要 |
NS5A領域の変異とIFN抵抗性に関して検討するためにはNS5A領域の機能を解析することが重要である。NS5A領域の機能に関しては良く分かっていないが、NS5A領域でコードされる蛋白はリン酸化されることが報告されている。このリン酸化が機能にどのような影響を与えるのかが検討課題となっている。NS5A蛋白の機能として他の遺伝子の発現を活性化する転写活性が報告されている。そこでNS5A蛋白の転写活性作用について調べたところ野生型と変異型で差が認められた。また最近NS5A蛋白がRNA-dependent protein kinase(PKR)の機能を阻害する可能性があることが報告されている。PKRはIFNによって誘導されるRNA依存性のprotein kinaseであり、ウイルス蛋白の翻訳を阻害する酵素である。ウイルス蛋白がこの酵素を阻害することが他のウイルスで報告されており、IFN効果を抑制して宿主の抗ウイルス反応を阻害する機序として注目されている。HCVにおいても同様の機序が働いている可能性がある。そこで我々は細胞内IFNシグナル伝達系に対するNS5A領域の影響を解析した。その結果、NS5A蛋白はinterferon stimulated responseelement制御下の遺伝子の発現を抑制し、その抑制効果は野生型と変異型で差があり、変異型では減弱しているという結果を得ている。これらの結果から、IFN治療抵抗性の機序として、細胞内IFNシグナル伝達抑制機構が関与することが示唆された。
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