潰瘍性大腸炎において、好酸球が活性化を受け好酸球顆粒蛋白の一つである塩基性のeosinophil cationic protein(ECP)の分布が潰瘍性大腸炎組織内で有意に増加し、さらに活動期患者の血清中で非活動期に比べ有意に上昇していることをこれまでに把握し報告してきた。このECPの組織障害性と炎症の慢性化への関与を追及するために好酸球からのECPの分離精製に取りかかった。 献血者のbuffy coats(白血球)を集め、Olssonらの方法によって分離精製を行った。具体的には、(1)限外透過にて20倍に濃縮、(2)分子ふるいクロマトグラフィー、(3)イオン交換クロマトグラフィー、(4)Zn-キレートクロマトグラフィーの4段階で抽出する。今年度は第3段階まで進んでおり、成績としてはECPの鋭いピークを得ている。次年度に分離精製を完了し、次のステップであるECPの組織障害性の検討に入る予定である。
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