研究課題/領域番号 |
08457180
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉村 一彦 信州大学, 医学部, 助教授 (70174985)
|
研究分担者 |
佐野 健司 信州大学, 医学部, 講師 (50205994)
高 昌星 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80143981)
小林 俊夫 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80020775)
本間 達二 信州大学, 医学部, 教授 (90020875)
|
キーワード | 水分濾過係数 / 摘出潅流肺 / エンドトキシン / 一酸化窒素 / 多機白血球 / 好中球エラスターゼ |
研究概要 |
本年度は家兎摘出潅流肺を用いた敗血症による肺傷害モデルを作成し、以下のように病態生理学的検討を行った。 家兎摘出潅流肺モデルにおいては、潅流液中の白血球成分の有無にかかわらず潅流開始後180分間は肺微小血管水分濾過係数に変化は認められなかった。潅流液中の白血球成分のない場合においてはE.coliエンドトキシン(LPS)投与によって、投与後1時間以降で水分濾過係数の軽度の上昇を認める傾向があった。潅流液中に白血球成分を加えると、より早期から水分濾過係数のより大きな上昇を認めた。 以上の実験モデルにおいて、LPSによる肺傷害の発生メカニズムを検討するために、好中球エラスターゼ、活性酸素および一酸化窒素とその代謝産物の関与について検討する目的で、選択的好中球エラスターゼ阻害剤、一酸化窒素合成酵素阻害剤の効果を検討した。その結果、選択的好中球エラスターゼ阻害剤の前投与によって好中球存在下の水分濾過係数の上昇はほぼ完全に抑制され、一酸化窒素合成酵素阻害剤の前投与では変化が認められなかった。潅流液に好中球を加えない実験群の水分濾過係数の上昇は、選択的好中球エラスターゼ阻害剤の前投与によっては変化がなく、一酸化窒素合成酵素阻害剤の前投与では、水分濾過係数の上昇は抑制される傾向にあった。以上の結果より、LPSによる肺傷害の発生メカニズムには、好中球存在下においては好中球エラスターゼが、また好中球の存在しない場合においては一酸化窒素がその病態に関与していることが示唆された。
|