研究課題/領域番号 |
08457184
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
井上 洋四 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40133962)
|
研究分担者 |
小林 仁 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60215358)
山内 広平 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (20200579)
|
キーワード | 気管支喘息 / 気道過敏性 / 遺伝子素因 / ヒスタミンN-メチル基転技酵素 |
研究概要 |
1)Histamine N-methyltransferase(HMT)と気道過敏性 これまでモルモットを用いた実験より、気道のHMT活性は気道のヒスタミンに対する収縮応答性と密接な関係にあることがわかっている。今回HMT阻害剤91488を吸入することにより喘息患者においてヒスタミンに対する気道過敏性が亢進することが確認され、ヒトにおいても気道のHMT活性レベルは気道過敏性の重要な因子の一つと考えられる。 2)HMT遺伝子の多型性 HMT遺伝子の多型性に関しては、我々の報告やR Weinshiboumらの報告から、翻訳領域の314番目のCがTに変換しスレオニンがイソロイシンに変わる場合と、595番目のGがAに変換しバリンがイソロシンに変わる場合が考えられる。これに加えて第一エクソンの89番目から8個の塩基(CTAACAAA)が欠損するクローンが存在することわかった。またエクソン6近傍のCA繰り返し配列が存在し、約100名の健常対象者群でくり返し数が15から30まで分布しており、多型性のマーカーとして有用であることが示唆された。 3)HMTの多型性と気管支喘息との関連について HMTの阻害剤を気管支喘息患者に吸入させるとヒスタミンに対する気道過敏性が亢進することが確認されており、気道におけるHMT活性レベルは気管支平滑筋のヒスタミンに対する収縮応答性に影響を与えることより、気管支喘息の遺伝子素因として重要な気道過敏性の形成にHMT遺伝子が関わりを持つ可能性が考えられる。今回HMT遺伝子が気管支喘息の発症に関わりを持つか否かを調べる目的でHMT遺伝子の多型性を健常者群及び気管支喘息患者群について解析した。HMTの多型性の解析にはエクソン6近傍のCA繰り返し配列を利用した。健常者群及び気管支喘息群における分布の差はχ2検定により、P=0.0115と有意であり、特に繰り返し配列数20以下が有意に喘息患者群で多かった。これらの事実はHMT遺伝子が一部の気管支喘息患者の発症に関わっていることを示唆している。
|