研究課題/領域番号 |
08457186
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
田村 尚亮 順天堂大学, 医学部, 講師 (10188435)
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研究分担者 |
瀬戸口 靖弘 順天堂大学, 医学部, 助手 (90206649)
高橋 英気 順天堂大学, 医学部, 講師 (90216747)
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キーワード | HPS遺伝子 / PCR-SSCP / 遺伝子多型 / 間質性肺炎 |
研究概要 |
Hermansky-Pudlak症候群(以下HPS)の原因遺伝子のcDNA同定を昨年度中に行った。さらに共同研究者である米国ウィスコンシン大学のSpritz教授らによって全遺伝子の同定・解析が完了したことを受けて、今年度は現在までに我々が集積した10例の日本人HPS症例の遺伝子異常に関して継続して検討を行った。しかし、既に報告されたHPS遺伝子の異常部位には明らかな異常を検出できていない。これは我が国のHPS症例が、現在HPS2遺伝子と仮称されている第二のHPS関連遺伝子の異常に起因している可能性を示唆する。さらに、今後も新たな遺伝子異常部位に関する検討を続ける予定である。 今年度は、HPS遺伝子異常あるいは遺伝子多型と間質性肺炎発症との関連に関する検討を行った。当科入院症例より既に抽出・保存してある約200例のゲノムDNAを用いて、exon11からexon15に関してPCR-SSCP法による遺伝子多型の存在の有無を検討した。exon15にはアジア人種は白人に比して高率に遺伝子多型が存在する(アジア人種:約20%、白人:数%)ことが明らかとなってきた。さらに、健常者や肺癌、肺気腫、その他の炎症性肺疾患やサルコイドーシス・過敏性肺臓炎などの間質性肺疾患症例では全て、exon15における遺伝子多型の頻度はほぼ同率の20%程度であったのに対して、間質性肺炎症例では過半数(約60%)の症例でこの遺伝子多型が存在し、有意に高値(p<0.002)であることが現在までの検討で明らかとなった。こうした所見の存在が間質性肺炎発症にどの様に影響を与えるかは現在の所明らかとはなっていない。しかし、HPS蛋白に対するモノクローナル抗体もほぼ準備が整いつつあり、次年度はHPS蛋白の機能解析と共に、HPS遺伝子多型の存在が間質性肺炎発症に及ぶす影響に関しても検討する予定である。
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