研究課題/領域番号 |
08457188
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下濱 俊 京都大学, 医学研究科, 助手 (60235687)
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研究分担者 |
藤本 貞毅 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80090182)
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キーワード | アルツハイマー病 / ホスホリパーゼC(PLc) / PLC-δ1 / pleckstrinhomology (PH) domain / 突然変異 / 機能障害 / PIP2 / IP3 |
研究概要 |
イノシトールリン脂質代謝は細胞内情報伝達機構の中で極めて重要な働きをしている。本年度は、ADにおけるPLC-δ1遺伝子異常の有無についてPCR産物の直接シークエンス法により検討した。AD105症例および456例の対照人の白血球から抽出したゲノムDNAを用い、その内、早期発症型AD36例中13例についてPLC-δ1エクソン2-15のシークエンス解析ならびに全サンプルについてエクソン3のRFLP解析をした。早期発症型AD1症例においてArg105→His(CGC→CAC)の変異を認めた。RFLP解析によりこの変異は多型ではなくまれな突然変異であることが明らかになった。この変異は、PIP2やIP3が結合し、基質の認識と解難に関わる重要な機能を担っているpleckstrinhomology (PH) domainに位置していた。このPH domainのアミノ酸置換のPIP2加水分解能およびIP3結合能に及ぼす影響について変異型蛋白質を大腸菌に発現させて検討した。Arg105→Hisのアミノ酸置換を持つPLC-δ1分子のPIP2加水分解能およびIP3結合能は、野生型に比べともに有意に減少することがわかり、変異がPLC-δ1分子の機能障害をもたらしている可能性が示唆された。この変異とAD発症の因果関係は明らかではないが、変異により機能障害を来すことが判明した。このヒトPLC-δ1分子の突然変異の報告は、世界で最初であるとともに、すべてのPLCアイソザイム分子の突然変異としても初めての報告である。
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