研究概要 |
代謝ストレスに対する細胞応答現象は各種の細胞に見られる普遍的な現象であり,神経細胞においても予め非致死的な虚血負荷を加えておくことにより,本来致死的な虚血侵襲に対する抵抗性が増強される虚血耐性現象が明らかになっている.本研究ではヒトの脳梗塞に近いモデルと考えられる砂ネズミ一側脳半球虚血モデルでの虚血耐性現象の発現を明らかとし,その際にストレス蛋白質の一つである熱ショック蛋白質72の産生が見られることを明らかにした.脳循環代謝改善剤である塩酸ビフェメランの投与により虚血耐性現象が増強するものの熱ショック蛋白質72の組織含有量には差が見られないことから,熱ショック蛋白質72単独では虚血耐性を説明しえないことが示された.本研究の結果から,ヒトの脳梗塞においても,虚血耐性現象が存在する可能性が示され,虚血耐性の分子メカニズムの解明が臨床的に還元されうるものと考えられた.
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