研究課題/領域番号 |
08457189
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳原 武彦 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (70243201)
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研究分担者 |
北川 一夫 大阪大学, 医学部, 助手
上田 周一 大阪大学, 医学部, 助手 (10294117)
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 講師 (20192346)
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キーワード | 虚血耐性 / HSP72 / 神経細胞死 / 砂ネズミ / 塩酸ビフェメラン / 近赤外分光法 |
研究概要 |
我々はこれまで砂ネズミ一過性重度前脳虚血モデルを用いて、虚血耐性の検討を行ってきたが、本研究では最初にヒトの脳梗塞に近い病態を有するとされる砂ネズミ片側脳半球中等度虚血モデルを用いて、あらかじめ神経細胞にHSP72を誘導しうる程度の非致死的虚血負荷を加えておくことにより、その後に本来組織障害を引き起こす重度の虚血侵襲に対して抵抗性を有するようになることを明らかにした。次に非致死的虚血負荷の反復処置により虚血耐性が増強することを明らかにした。しかし反復虚血負荷により耐性が増強される条件下でのHSP72の組織含有量には変化がなかった。また脳保護薬(塩酸ビフェメラン)の投与によっても虚血耐性が増強されるが、やはりHSP72の組織含有量には差がなかった。最後に虚血耐性誘導時の虚血侵襲に対するエネルギー代謝について近赤外光スペクトラムによる解析を行ったところ、虚血耐性を誘導された条件下ではミトコンドリアの酸素代謝の改善がみられることが明らかになった。以上の結果から、虚血耐性はヒトの脳梗塞に近い病態でもみられうること、虚血耐性へのHSP72の関与はありうるがHSP72の誘導単独では虚血耐性現象の全てを説明できず、他のストレスタンパク質をはじめとした遺伝子の関与があることや、虚血耐性誘導時にはエネルギー代謝の面でも変化がみられる事が明らかになった。
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