研究概要 |
(1)変異マウスの作製:myelin-associated oligodendrocytic basic protein(MOBP)は申請者らによって発見された中枢ミエリンに特異的蛋白である。今回の研究ではgene targeting法にてこの遺伝子をknockoutした。この変異マウスにおいて、Sourthern blot解析では確かにゲノムがtargeted disruptionしており,その結果Western blot解析ではMOBP蛋白を認めなかった。しかし,6ヶ月経った現在も神経学的症状は認めない。電子顕微鏡で観察しても髄鞘形成には異常を認めなかった。しかし,タニタン酸固定にて中枢神経特異的髄鞘構造物であるradial component(RC)を観察すると変異マウスではRCの走行異常が認められた。現在RCの機能等検討中である。(2)実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の作製:MOBPのcDNAによってコードされると思われる蛋白を合成しLewis Ratに免疫し,その神経症状と神経病理学的検討を行った。一部病理学的に異常を認めたものの,EAEは誘導できなかった。(3)ヒトcDNAのクローニング:ラットcDNAではMOBP-81が圧倒的に頻度が高いが,ヒトcDNAではそのアイソフォーム構成は不明である。PCRなどを含めヒトで検討中であるがMOBP-81に相当するものは存在するがその頻度は低くラットとの違いが示唆されたが,もう少し検討を要す。(4)MOBP蛋白の精製:ラットの抗体を用いて蛋白精製を行ってきたが,MOBP蛋白が溶解困難であるため分子修飾については未だ不明である。
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