研究課題/領域番号 |
08457194
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
錫村 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50196896)
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研究分担者 |
澤田 誠 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (10187297)
田丸 司 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50295797)
高柳 哲也 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60022836)
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キーワード | ミクログリア / サイトカイン / IL-13 / グリア / 多発性硬化症 / AIDS |
研究概要 |
平成9年度の計画書に基づき、以下の研究を行った。 1)昨年度までに報告したTNFα産生抑制作用をもつ種々のフォスフォジエステラーゼ阻害薬(PDEI)による多発性硬化症の実験モデルである実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)に対する抑制効果を検討した。PDEIは単独でもEAEの発症を遅らせ、重症度を軽減させたが、in vitroでのTNFα産生抑制実験の結果と同様に、3種類のPDEIの併用によりより有効に抑制効果を認め、発症を8割抑制し、発症群でも重症度を有意に軽減させた。多発性硬化症の治療薬として有用と考えられた。 2)ミクログリアのnitric oxide(NO)産生とそれを制御するサイトカインを検索し、TNFαやIL-1がNO産生を誘導し、上記PDEIがこれを抑制するすることを明らかにした。TNFαとNOはともに脱髄、神経変性のエフェクターと考えられており、PDEIがこの両者をともに抑制することは将来、脱髄のみならず、種々の神経難病の治療法開発に向けて有用な知見と考えられた。 3)IL-13がほかの増殖刺激との共同作用で、ミクログリアを多核巨細胞に変化させることを突き止めた。多核巨細胞は結核性病変とともにHIV脳症でも認められる病理学的変化であり、これが2型ヘルパーT細胞(Th2)由来のサイトカインにより形成されることから、これらの病変部位でのTh2の重要性が示唆された。神経系でのIL-13産生がないことも明らかにした。
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