研究概要 |
この研究はモノクローナル抗体F9を用いて、インターロイキン3(IL-3)受容体関連蛋白のcDNAをクローニングしようとするものである。そこでまず、F9抗体により検出された蛋白質(約45kDa)を分離し、2ケ所の部分アミノ酸配列を決定した。これらのアミノ酸配列より各々2種類の5'及び3'側オリゴヌクレオチドプライマー(20mer)を作成し、各5'及び3'プライマーペアを用い、マウス神経芽細胞腫SN6のmRNAをtemplateとしたRT-PCR法によりcDNAを増幅した。更にPCR反応産物を1,000倍に希釈後、5bp内側に位置するプライマー(20mer)により再度PCR増幅を行った。得られたDNA断片をTベクターおよびpUC18のSmalサイトにクローニングしてDNA塩基配列を決定した。その結果5種類のcDNA断片(780,370,230,205,105 bp)が増幅された。これらのDNAを含む25クローンについてシークエンスを行ったところ、18個にopen reading frameが見出され、4個は同じものであった。核酸データベースとのホモロジー検索の結果、B321,B340,B378,B479はそれぞれactin,elF4,actinine,nuclear poretargeting componentであることが判明した。しかし、これらの既知遺伝子にはF9と同一のアミノ酸配列は見出されず、F9遺伝子ではないことが分かった。一方、Northern解析では残り11個のうち3クローン(B327,B334,B425)のみがmRNAとハイブリダイズした。B327及びB334はそれぞれ各臓器で発現が認められる1.6kbと3.0kbのmRNAを検出し、B425は脳に特異的に発現している3kbのmRNAを検出した。これらのクローンについて現在全長cDNAを解析中である。
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