研究課題/領域番号 |
08457203
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 利之 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40236302)
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研究分担者 |
原田 和昌 東京大学, 医学部附属病院, 医員
松井 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30282669)
河本 修身 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00261967)
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キーワード | 不全心筋 / 細胞内情報伝達路 / クロストーク / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / サイトカイン / 血小板由来成長因子 / 蛋白キナーゼ / 細胞内Ca^<2+> |
研究概要 |
本研究の目的は、肥大心筋ないしは不全心筋の形成過程における心筋細胞内情報伝達路間のクロストークを明らかにすること、特に、細胞内Ca^<2+>濃度の変化、蛋白キナーゼ系や転写因子活性化の役割を明らかにすることであった。今年度は主に、心筋細胞における誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)発現機構および血小板由来成長因子(PDGF)の心筋成長作用に関して検討を加えた。 1)心筋細胞におけるiNOS発現調節機構:新生仔ラット由来の培養心筋細胞を用いて、lipopolysaccharide(LPS)やサイトカイン(IL-6、TNFα)刺激によるiNOS発現の機能的意義とその遺伝子発現調節機構について検討を行った。まず、機能的意義に関しては、発現したiNOSは有意の細胞内Ca^<2+>低下作用、陰性変力作用、陰性変時作用を呈した(Kinugawa K,et al.Am J Physiol,in press)。他方、心筋細胞におけるiNOS遺伝子発現調節機構に関しては、NF-κB、IRF-1、C/EBPβ、CREBなどの転写因子の活性化が重要であり、かつ、それぞれの間にクロストークが存在することが明らかとなった。また、チロシンキナーゼ系、Aキナーゼ系やMAPキナーゼ系の活性化が重要であることが示されたのに対して、Cキナーゼ系の関与ははっきりしなかった。 2)PDGFによる心筋成長作用の分子機構:ニワトリ胚由来培養心室筋細胞(CEVM)を用いて、PDGFによる心筋細胞成長作用の有無とそれに関わる細胞内情報伝達路について検討を加えた。その結果、PDGFはCEVMを有意に成長させ(DNA合成率、蛋白合成率の上昇)、c-fos遺伝子の発現および転写因子AP-1活性を亢進させたが、細胞内Ca^<2+>濃度、L型Ca^<2+>電流は不変であった。またPDGFによる心筋成長作用には、チロシンキナーゼ系、MAPキナーゼ系、JAK-STAT系やCキナーゼ系が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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