1. 血管平滑筋細胞の細胞増殖と細胞機能の関連に関する研究。血管平滑筋細胞において、同一単一細胞レベルで、細胞周期と細胞機能を同定する方法を開発した。(1)血管平滑筋細胞の細胞周期進行に伴って、Ca^<2+>チャネルの発現が変化することがわかった。(2)P_<2U>受容体の活性化は、G_0⇒G_1期の進行には、無効であったが、G_1⇒S/M期の進行のみを特異的に促進させる事がわかった。これに対し、P_<2U>受容体による[Ca^<2+>]i上昇作用は、G_0期細胞とG_1期細胞で全く同じであった。(3)血管平滑筋細胞において、Ca^<2+>拮抗薬がG_0⇒G_1期への細胞周期進行を阻害する程度と[Ca^<2+>]i上昇を阻害する程度は、相関がない事が解った。 2. 血管緊張制御・緊張亢進の成因に関する研究。(1)種々の血管弛緩薬による血管弛緩メカニズムの異同([Ca^<2+>]iと張力関係、収縮蛋白Ca^<2+>感受性、mRNA発現)を明らかにした。(2)静止時張力は、[Ca^<2+>]iにはほとんど影響を与えず、主として、収縮蛋白のCa^<2+>感受性を変化させる事によって、血管平滑筋の収縮を制御している事が解った。(3)Rhoキナーゼは、血管平滑筋において、「Ca^<2+>-カルモジュリン-ミオシン軽鎖キナーゼ」系とは全く独立して、ミオシン軽鎖の燐酸化とCa^<2+>非依存性収縮を引き起こすことが解った。(4)ブラジキニンは、B2受容体とG蛋白の活性化を介して、[Ca^<2+>]i上昇と収縮蛋白Ca^<2+>感受性増加によって、静脈を収縮させることが解った。(5)チロシンキナーゼ阻害薬は、in vivo豚の冠動脈硬化病変を著明に抑制する事が解った。(6)動脈へ自家移植された静脈では、エンドセリンB受容体の発現とその機能が抑制されることが解った。(7)エンドセリンは、オートクリン・パラクリン作用によって、気管の緊張を制御していることが解った。
|