研究概要 |
Arginine Vasopressin(AVP)は脳・心血管系に存在する1型受容体(V1R)および腎集合管に存在する2型受容体(V2R)を介して循環調節を行う。経口可能なV1R、V2R拮抗薬が開発され近い将来には臨床応用される予定であるが、病態下での発現調節はこれまで不明であった。私達はVIR遺伝子の転写調節を明かにする目的でラットの全遺伝子クローンを単離した。全長は3.8Kbであり、2つのエクソンと1つのイントロン(1.8Kb)から構成されていた。3つの転写開始点(-405,-243,-237)が見いだされたが、TATA,CCAATboxはこの領域には存在せず、GC-rich領域が観察された。CATreporter geneを用いてプロモーター領域をラット血管平滑筋細胞に導入し、上流2.2Kb内には3つの陽性cis調節配列と1つの陰性cis調節配列が存在することが見いだされた。-296と-221間に存在する領域が血管平滑筋細胞に特異的発現誘導をきたすcis配列であることが明かになった。ゲルシフト法とサウスウエスタン法にて、この領域には〜30Kbと〜28Kbの核蛋白が結合し、特異的発現誘導に関与することが示唆された。現在、この核蛋白の単離同定を行っている。
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