研究課題/領域番号 |
08457218
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
成澤 邦明 東北大学, 医学部, 教授 (90004647)
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研究分担者 |
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (10205221)
松原 洋一 東北大学, 医学部, 助教授 (00209602)
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キーワード | 肝酵素欠損症 / フェニルケトン尿症 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 血中フェニルアラニン値 / 体毛色 |
研究概要 |
肝臓を標的臓器とする遺伝子治療の基礎的研究を行う目的で、ヒトPAHcDNAを組み込んだ非増殖型5型アデノウイルスペクターを用いて、PKUモデルマウスに対する遺伝子導入を行った。生後8〜10週のPKUモデルマウスを対象として尾静脈から投与し、経時的に血清フェニルアラニン値を測定した。次に、アデノウイルスを用いた遺伝子治療の際に認められる宿主の免疫反応を抑制するために、免疫制御剤(FK506)を投与して、遺伝子治療への影響を検討した。組換えアデノウイルス投与時から免疫抑制剤FK506を連日皮下投与(5-20mg/kg/day)することによって、組換アデノウイルス単独投与では10日間しか持続しなかった血清フェニルアラニンの低下が、35日間に延長した。血清フェニルアラニン値が正常化して10日目頃から、灰白色であったマウス体毛は徐々に黒色となり、14日目には野生型とほぼ同じ毛色となった。この時点で、組織所見の改善も認識された。発現PAH活性は肝臓に置いてのみ正常の12-85%の活性を認め、多臓器では検出感度以下であった。 免疫抑制FK506の投与でアデノウイルスベクターでの遺伝子発現効果の延長が認められた。このことは、今後の遺伝子治療にむけて一つの指針を与えるものである。
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