研究課題/領域番号 |
08457220
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 泰秀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30238133)
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研究分担者 |
小林 美由紀 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60205391)
柳澤 正義 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90049031)
別所 文雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40010285)
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キーワード | 乳児白血病 / 11q23転座 / MLL遺伝子 / t(11;16) / CBP遺伝子 / AF-5α遺伝子 |
研究概要 |
乳児白血病の約70%にMLL遺伝子の再構成がみられ、この遺伝子が発症と進展に重要な役割を有する。我々はこれまでt(5;6;11)-乳児白血病の切断点のクローニングより5q12に座位するAF-5α遺伝子を、t(11;16)(q23;p13)の16p13よりCBP遺伝子を単離し、これらの遺伝子とその産物の性状を検討してきた。さらに我々はt(11;22)の22q13よりp300遺伝子がこの転座に関与する遺伝子である可能性を考え、p300cDNAをプローブにしてサザンブロッティングとノーザンブロッティングを行ったところ、正常とサイズの異なるバンドがみられた。MLLとp300遺伝子のプライマーを設定し、reverse transcriptase(RT)-PCR法を行ったところ、MLL-p300キメラcDNAが検出でき、t(11;22)のMLL22q13の転座相手がp300遺伝子であることを明らかにした。またt(10;11)(p12.1;q23)-乳児白血病のcDNAライブラリーより、MLL遺伝子を用いて10p12.1より新しいABI-1遺伝子を単離した。この遺伝子から予想される産物はSH3ドメインをもち、マウスの実験ではC-Ab1を抑制する機能があることが判明した。さらに現在保有しているt(11;22),t(5;11),t(11;17)等の白血病細胞を用いてcDNAイブラリーを作り、MLL遺伝子の再構成を用いて相手遺伝子の単離を試みたところ、これらより相手遺伝子の単離に成功した。とれた遺伝子の2つは細胞の転写の際に必須な重要な遺伝子であった。種々の組織での発現等、これらの産物の性状の詳細な検討を通じて、造血組織の発生・分化におけるこの遺伝子の役割と白血病発症における役割を解明している。
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