神経芽腫(NB)は分化能を有しており、in vitroで種々の物質で分化を誘導することができる。しかし、その機構については未だ不明である。この研究はNBの分化機構を遺伝子レベルで解明することが目的である。 1.ヒトNB細胞の神経細胞への分化誘導 ヒトNB細胞KP-NB-SI(FA)を1x10^<-5>MのRA(retinoic acid)で処理し神経細胞への分化を誘導した。処理後3日目、6日目の細胞と未処置の細胞(コントロール)からそれぞれtotal RNAを抽出した。 2.mRNA differential display法での解析 RA処理NB細胞と未処理のNB細胞の両群間で発現している遺伝子群の違いをmRNA differential display法で検討した。 3.RA処理したNB細胞でのみ発現している遺伝子を10個以上単離した。単離したDNAサイズは200〜600bpで一部の塩基配列を決定し、その構造解析を行っている。その結果、既知の遺伝子だけでなく、未知の遺伝子もとれてきている。 4.同じ実験系で、未処理のNB細胞でのみ発現している遺伝子についても解析が可能で、いくつかの遺伝子を分離している。同様に解析中である。 この研究によって、NB細胞の分化過程で発現量が減少している遺伝子群あるいは新たに発現してくる遺伝子群を検討することができる。今後も発展させていきたい。
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