研究概要 |
1. ラットCsxの単離とシークエンス ラットCsx(心臓特異ホメオボックス遺伝子)の単離と,シークエンスを行った.得られたラットCsx-cDNAは1.8Kbで,塩基配列,アミノ酸配列ともに,マウスCsxと高い相同性を示した.また,ラットCsxの発現に関しては,ラットから心臓・肺・精巣などの種々の組織よりRNAを抽出してRT-PCR法で観察したが,その発現が心臓に強く,ラットにおいてもCsxは心形成に重要な働きをしていると考えられた. ラットCsxのマッピングに関しては,単離したラットCsx-cDNAを用いて,FISH(Fluorescence in situ hybridization)用probeを作成した.またラット染色体標本を作製し,FISH法を行い,分析の結果第4あるいは5染色体上に存在することはわかったが,遺伝子座位の決定までにはいたっていない.今後さらに,prometaphase期のラット染色体標本の作成と,FISH用ラットCsx-probeの濃度の検討などが必要と考える. 2. cell-cell adhesion molecule(C-CAM4)のアイソザイム(C-CAM4) C-CAM4はC-CAMアイソザイムのなかで唯一膜貫通部を欠き,soleble typeと考えられる.in situ hybridization法の結果,rat胎盤の胎仔由来と思われるspongiotrophoblastに強い発現がみられ,胎盤形成および胎仔の発育に深く関わっている可能性がある.また,ヒト胎盤でもC-CAM4 homologueの発現を認め,同様の機能を持つことが示唆される.一方adult ratでは子宮,卵巣にも発現がみられ,胎盤からの発現と相互に関わっているものと思われる.
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