研究分担者 |
長谷川 頼康 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (60256435)
津田 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (50188554)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (60160595)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (90167255)
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研究概要 |
遺伝性脳変性疾患には、Krabbe globoid cell leukodystrophy,Metachromatic leukodystrophy(MLD),Adrenoleukodystrophy(ALD),Gaucher病等が知られており、これらの疾患の脳障害病因に関しては不明である。我々は特にゴ-シェ病、MLD等の病因に関して以下の点を検討した。 1)Gaucher病、MLDの遺伝子解析:遺伝子異常と臨床症状との関連を明らかにした。神経症状の強い症例ほどグルコセレブロシダーゼ遺伝子のdeletion、或いはL444P等の遺伝子型となる。 2)脳障害の病因:サイコシンの関連性を明らかにし、サイコシンの細胞内の蓄積は細胞内カルシウムを増加させている。 本研究では、神経細胞障害のメカニズムを明らかにするため、実験的ゴ-シェ病細胞としてHuman Oligodendroglioma(HOG)細胞において、β-グルコシダーゼの特異的な阻害物質であるconduritol-B-epoxide(CBE)を添加し、細胞内でのグルコスフィンゴシンの蓄積を起こさせた。この細胞に於ける細胞内カルシウム濃度をfura-2-AMを加えて測定すると、経時的に細胞内カルシウム濃度が上昇した。この事から細胞内のグルコスフィンゴシンの蓄積は恐らくERからの細胞内カルシウムを放出し、細胞内Caの上昇がカルパイン等のプロテアーゼ活性を上昇させ細胞障害を来すことが推測される。 以上より遺伝性脳変性疾患の脳障害のメカニズムを遺伝子的側面並びに細胞内情報伝達機構のカスケードの障害のメカニズムから明かにし更に今後、MAP kinase,PKU活性、IP_3等の中間代謝系の課題を検討する予定である。
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