研究課題/領域番号 |
08457240
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
酒井 邦夫 新潟大学, 医学部, 教授 (20018378)
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研究分担者 |
大久保 真樹 新潟大学, 医療短期大学部, 助手 (10203738)
土田 恵美子 新潟大学, 医学部, 助手 (70210630)
杉田 公 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (60216314)
末山 博男 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (80115039)
藤田 勝三 新潟大学, 医療短期大学部, 教授 (90080100)
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キーワード | 放射線治療 / 食道癌 / 5-FU / CDDP / 増感作用 |
研究概要 |
基礎的研究では、FM3A細胞に対する5-FU+CDDPと放射線の併用効果を細胞増殖、色素排除能および細胞形態の面から検討したところ、(5-FU+CDDP)+2Gy併用処理群では増殖遅延時間および死細胞の割合がそれぞれの単独処理の場合の和以上の効果(supra-additive effect)を示し、また細胞形態の観察から死細胞、巨大細胞および多核細胞が多くなることが確認された。細胞動態学的検討では、2剤同時処理と2Gy併用により、薬剤除去72時間後に著明なG2ブロックが認められ、長時間G2ブロックされた細胞の多くは巨大細胞、多核細胞となりやがて死滅することが確認された。 臨床的研究では、新潟大学医学部附属病院ならびに関連病院において1992年から1996年までの5年間に、放射線治療と5-FU少量長期持続静注の同時併用療法を施行した手術不能食道癌56例の局所制御、有害事象ならびに生存率について検討した。本プロトコールは5-FUの放射線増感作用を利用するもので、5-FU250〜300mg/m2/dayを500〜1000mlの輸液中に入れ、照射しない日(土、日曜日など)を除き、通常分割照射(総線量60Gy以上)の全期間にわたって同時併用した。その結果、frade3以上の有害事象として、食道炎9例(16.1%)、下痢、白血球減少、ヘモグロビン減少、肝機能障害、および慢性心嚢炎+胸膜炎が各々1例(1.8%)に認められ、2例(3.6%)の治療関連死がみられたが、放射線治療の完遂率は92.9%(52/56)、5-FU投与の完遂率は87.5%(49-56)であった。登録症例全体の奏効率は92.9%、CR率48.2%、中間生存13カ月、2年累積生存率31.5%、2年病原生存率37.2%であり、放射線単独治療に比較し良好な結果が得られた。現在は、(5-FU+CDDP)少量長期持続静注と放射線の同時併用療法の第・・相臨床試験を継続中である。
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