研究概要 |
1.我々は、最近^<19>F-MRSによる新規細胞外pH測定試薬を入手し、腫瘍組織のpHを^<19>F-MRIで画像表示することを目的とし基礎実験を実施した。 マウス下肢にSCCVII腫瘍を移植し、経時的に腫瘍容積を測定した。^<19>-pH試薬(3-[N-(4-fluoro-2-trifluoromethyl)sulfamoilproprloni cacid)を尾静脈より投与しGSX400(JEOL)MRSにて、^<19>F-MRSのケミカルシフトから細胞外pHを測定した。同時に^<31>P-MRSも測定し細胞内pHを計測した。その結果、腫瘍の増殖に伴い腫瘍細胞内・外pH共に低下したが、細胞外pHの方が低pHであった。本研究結果より、生体に非侵襲的に細胞内・外pHを同時に測定可能であることが分かり、非常に有益な結果であった。^<19>F-MRIを測定した結果、Imagingには高濃度のpH試薬を要し腎毒性が認められることから、臨床的なpH Imagingは本薬剤のままでは困難と思われた。 2.抗癌剤の5-FUおよびその前駆物質Tegafulの^<19>F-MRSから非侵襲的に薬剤の代謝を検討すると共に、抗癌剤の集積による腫瘍の^<19>F-Imagingを検討する。 抗癌剤の5-FUおよびその前駆物質Tegafulを尾静脈より投与し、肝臓での^<19>F-MRSを測定し、肝臓での薬剤の代謝を検討した。その結果、^<19>F-基準物質(TFA)を0ppmとした時、5-FUのピークは97ppm,Tegafulは93ppmと明らかに異なるスペクトルとして検出された。サーフェスコイルでの検量線を作成し、5-FUでは0.25mg/ml,Tegafulでは0.2mg/mlまで検出可能であった。また、5-FUは約6時間、Tegafulは、ほぼ1日でピークが消失した。今後、腫瘍への集積を測定し、^<19>F-MRIにて腫瘍の^<19>F-Imagingを検討する予定である。
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