1.昨年度本研究費で購入したサーフェイスプローブに新しい3種のコイルを試作し、19F-MRS測定の感度を検討した。 1)コイル1(2ターンコイル):5-FU 0.05mg/mlまで検出可能 2)コイル2(円錐状3ターンコイル):5-FU 0.05mg/mlまで検出可能 円錐状なのでマウスの臓器が置きやすい。特に腫瘍がスッポリおさまり感度が良い 3)鞍型コイル:5-FU 0.25mg/mlで検出不可(鞍の大きさに合うものには可、鞍より大又は小は不可 ★★新コイル感度実験から、昨年度の測定感度より5倍高いことが明らかとなった。 ★★動物測定用には、臓器の置きやすさ、感度の点からコイル2を使用することとした 2.新サーフェイスプローブにコイル2を取り付け、正常および坦癌マウスにおける5-FUの代謝を測定 正常マウスに5-FUを尾静脈より投与し、頭部(脳)、胸部、上腹部(肝臓)、下腹部(腎臓)、下肢での19F-MRスペクトルを測定した。 A.正常マウス(DDY) 肝臓:0.5時間後(5-FUのピーク出現)、1.5時間後(約20ppm離れた位置に5-FU代謝産物ピーク出現) 2.5時間後(代謝産物のピークのみとなった)、4.5時間後(ピーク出現) 腎臓:経時的にピーク大となり、代謝産物のピークもあり 他臓器:0.5時間後(ピーク出現)、1.5-2時間後(ピーク消失) B.坦癌マウス(SCCVII腫瘍、C3H/Heマウス) 肝臓:0.25時間(5-FUのピークあり)、1.3時間後(代謝産物のピーク出現)、 3.5時間後(代謝産物が主となる) 下肢腫瘍部:0.3時間後(5-FUのピークあり)、4時間後(5-FUのピーク残存、代謝産物のピーク未出現) 以上の結果より、本科研費にて購入したサーフェイスプローブと試作コイル2により、感度は5倍となり、5-FUの代謝産物が確認できた。また、肝臓での5-FUの代謝が測定かのうとなり、腫瘍部位での5-FUの存在も明らかとなった。さらに、腫瘍部位での5-FUの代謝は肝臓より遅いと思われた。
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