研究課題/領域番号 |
08457250
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡崎 祐士 長崎大学, 医学部, 助教授 (40010318)
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研究分担者 |
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
辻村 徹 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (70236892)
林田 雅希 長崎大学, 保健管理センター, 講師 (70264223)
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キーワード | 一卵性双生児 / 精神分裂病 / てんかん / ゲノムスキャン / ゲノムの差異 / 染色体異常 / メチル化 / 転写活性 |
研究概要 |
最近、一卵性双生児にもゲノムの差異があることが明らかになりつつある。本研究は一卵性双生児精神神経疾患不一致例の罹患者と非罹患者のゲノムの差異をdifferential cloning法を用いて検出し、その差異を示すDNA部位のクローニングによって、精神神経疾患関連遺伝子や遺伝子の発現の抑制に関連したDNA部位を見いだそうとするものである。本年度は、わが国で開発された2つの方法を適用した。大石らによるIn Gel Cmpetitive Reassociation(IGCR)法(1990)と林崎らによるRestriction Landmark Genome Scanning(RLGS)法(1991)である。 1.IGCR法による一卵性双生児分裂病不一致例の検討 44歳の男性分裂病不一致一卵性双生児(30歳発症の精神分裂病鑑別不能型と健常なco-twin)の末梢血白血球から抽出したDNAを材料として、4塩基認識制限酵素Mselを用いたIGCR法によってゲノム全体の約40%(300〜1K bp)を対比較した。この方法によっては差異を示すDNAフラグメントは得られなかった。残り60%やMsel認識部位以外に異常があることが考えられるが、一卵性双生児の双胎間輸血症候群によるモザイクのための差異がキャンセルされた可能性もある。 2.RLGS法による一卵性双生児分裂病および側頭葉てんかん不一致例の検討 上記と同一双生児を8塩基認識制限酵素Notlを用いたRLGS法により、2人の双生児それぞれの約2,000のスポットをdisplayし、比較したところ、ラジオオートグラムで濃度が異なる9つのスポット(明らかに一方にのみ認められた2スポットを含む)を得た。これはNotl隣接部位に微小な染色体異常が存在するかNotl部位にメチル化が存在する可能性を示唆し、どちらの場合も転写活性の低下が片方の双生児に存在する可能性を示すものである。現在このスポットを打ち抜き、クローニング中である。側頭葉てんかん不一致一卵性双生児についてもRLGSを間もなく終了するところである。 3.今後の計画 上記結果は国内学会にて発表し、国際医学誌に投稿中である。また、次年度は上記クローニングを完成させ、てんかんを初め他の疾患双生児に対象を拡大する予定である。
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