研究課題
ボルナ病ウイルスはウマやヒツジに脳炎をおこす向神経性ウイルスであるが、ヒトの精神疾患との関連が血清疫学的に示唆されている。この問題にたいして、われわれはヒト剖検脳におけるボルナ病ウイルスp24遺伝子およびp40遺伝子の有無を、高感度のnested RT-PCR法により検索している。健常対照脳43例の脳組織(前頭葉、側頭葉、海馬および嗅球)についてしらべたところ、p24遺伝子断片は3検体で検出され、またp40遺伝子断片は2検体で検出された。p24およびp40遺伝子が同時に検出されたのは1例の前頭葉検体であった。いっぽう、精神分裂病患者脳21例の脳組織(同4部位)については、p24遺伝子は4検体で陽性、p40遺伝子は2検体で陽性であった。両遺伝子が同時に検出されたのは、この群でも1例(前頭葉)のみであった。まだ例数はすくないが、ボルナ病ウイルス遺伝子の検出率が分裂病で高い傾向をしめしており、このウイルスが分裂病の外因のひとつである可能性を追求することはきわめて重要である。
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