精神疾患患者剖検脳におけるボルナ病ウイルス遺伝子の検索

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08457254
• 研究機関: (財)東京都精神医学総合研究所
• 研究代表者: 池田 和彦 東京都精神医学総合研究所, 超微形態研究部門, 副参事研究員 (30124663)
• 研究分担者: 神田 隆 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40204797) ; 生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181) ; 田代 眞人 国立予防衛生研究所, ウイルス製剤部, 部長 (90111343) ; 入谷 修司 東京都精神医学総合研究所, 兼務研究員 ; 有馬 邦正 東京都精神医学総合研究所, 超微形態研究部門, 副参事研究員 (20250227)
• キーワード: 精神分裂病 / ヒト剖検脳 / ボルナ病ウイルス / RT-PCR / 脳ウイルス感染

研究概要

米国Stanley財団より精神疾患症例および正常対照例60例の剖検脳の提供をうけたので、新規にボルナ病ウイルス遺伝子の有無を検索した。また、これまでに報告した日本人剖検脳94例について、再吟味した。
Stanley財団例は、精神分裂病詳、双極性障害群、精神症状を伴わないうつ病群、正常対照群4群についてそれそれ15例であり、各例前頭葉、側頭葉について検討した。結果は、全120検体でBDVp24、p40について陰性であった。ついで、既報の精神分裂病詳44例、正常対照詳50例について、3施設における盲検検索を行った。結果を集約すると、3施設すべてでp24、p40が前頭葉あるいは側頭葉で陽性であった症例は5例、2施設でp24、p40が共に陽性の症例は2例、1施設でp24、p40が陽性の症例は2例であった。また、3施設でp24、p40のいずれか陽性の症例は2例、2施設で同様にいずれかが陽性の症例は4例であった。その他に、8例が1施設でどちらかが陽性であった。疾患と対照で、陽性率の違いは認めなかった。p24 POR産物について3例、p40について6例についてDNA塩基配列解析を行った。He/80-1のDNA配列と同一かほぼ同一であった(2例のp40PCR産物で1カ所に塩基置換がみられた)。
ボルナ病ウイルスのnestedRT-PCR検索ではかなりの頻度で実験室内の汚染がおこっている可能性がある。今後、汚染の問題に注意して、剖検組織の検索をすすめる。

研究成果

• [文献書誌] Arima,Kら: "Argyrophilic tau-positive twisted and non-twisted tubules in astrocytic processes in brains of Alzheimer-type dementia : An electron microscopical study." Acta Neuropathol. 95. 28-39 (1998)
• [文献書誌] Todo,Tら: "Neuronal localization of fibroblast growth factor-9 immunoreactivity in human and rat brain." Brain Res.783. 179-187 (1998)
• [文献書誌] Izumi,Hら: "Expression of a 45 K subunit of platelet-activating factor acetyhdrolase in the developing mouse cerebellum" Anat.Embryol.197. 337-346 (1998)
• [文献書誌] Nakamura S,Arima K,Hag H,Aizawa A,Motoi Y,Otsuka M,Ueki,A,Ikeda K: "Fibroblast Growth Factor(FGF)-9 immunoreactivity in senile plaques." Brain Res. 814. 222-225 (1998)
• [文献書誌] Motoi,Yら: "Neuronal apolipoprotein E receptor 2 immunoreactivity in Alzheimer 1s disease." Alzheimer Res.2. 1-6 (1999)