研究分担者 |
内田 真 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員
梶村 尚史 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 研究員
内山 真 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (20221111)
高山 豊 国立精神, 神経センター・神経研究所, 研究員
UCHIDA Sunao Tokyo Metropolitan Institute of Psychiatry, Reseacher (00261181)
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研究概要 |
本研究では、国立精神・神経センターの超高解像度ポジトロンCTを用い、最新の画像処理技術を駆使し脳の機能画像を三次元的に再構成し、レム睡眠における神経回路網を明らかにする。 健康な右利き男子大学生を18名を被験者とした。被験者には、PET測定台上で十分な睡眠をとれるように試験前日に全断眠を行わせた。試験当日は,19時より電極装着,動静脈の血管確保,頭部固定のためのマスク装着などの準備を行い,22時に消灯し,翌朝8時まで終夜睡眠ポリグラム記録を行った。PETスキャンは、NREM睡眠で4回,REM睡眠で4回,その後覚醒させ安静時に4回の最高で合計12回行うこととした。睡眠前半部でNREM睡眠の画像をとり,睡眠中間部はポリグラフを参照して選択的REM睡眠断眠を行い,朝方にREM睡眠の画像をとるプロトコルを用いた。標識薬物としては,超短時間放射性同位元素でラベルされたH_<215>O(半減期約2分)を用い,高解像度PET(シーメンス社ECAT EXACT HR)で,各スキャン90秒間における局所脳血流の画像を得た。1被験者あたり総被爆量は1mSv以下とした。これら局所脳血流データの解析にはstatistical parametric mapping(SPA)を使用し、安静覚醒閉瞼時(覚醒時)の画像とREM睡眠時の画像を比較した。REM睡眠の画像が得られた6例におけるREM睡眠時の画像(11スキャン)と覚醒時の画像(15スキャン)を用い検討した。全脳平均血流量を比較すると、REM睡眠時と覚醒時では、有意差がみられなかった。そこで、全脳平均血流をcovariateとしてREM睡眠時と覚醒時の局所脳血流を検討した。その結果、覚醒時に比べREM睡眠中は、両側一次視覚野、両側帯状回、両側扁桃核、右側海馬で局所脳血流の増加がみられ、前頭前野では局所脳血流の低下がみられた。 以上より、安静覚醒閉瞼時に比べREM睡眠中の脳の活動は、辺縁系と一次視覚野の賦活、および前頭前野の抑制により特徴づけられることが明らかになった。このことから、辺縁系および一次視覚野の賦活はREM睡眠中の夢見体験と、前頭前野の抑制は軽度の意識水準の低下に対応する所見と考えられた。
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