研究課題/領域番号 |
08457259
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸辺 一之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30251242)
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研究分担者 |
植木 浩二郎 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
鏑木 康志 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
為本 浩至 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
本田 律子 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
門脇 孝 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30185889)
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キーワード | インスリン抵抗性 / インスリン受容体基質 / インスリン作用 / インスリン受容体 / 糖尿病 / IRS-1欠損マウス |
研究概要 |
糖尿病は生活スタイルの欧米化などに伴い急速に増大し、現在その患者数は、600万人ともいわれる重大な成人病である。我々は、糖尿病におけるインスリン抵抗性の役割とインスリン抵抗性の機序を明らかにするためインスリン受容体チロシンキナーゼの主要基質であるインスリン受容体基質1(IRS-1)を欠損したマウスを作製し、軽度のインスリン抵抗性があることを明らかにした。IRS-1欠損マウスのインスリン抵抗性が、インスリン受容体異常症のホモに比べ軽度にとどまる理由はIRS-1を代償する新たな基質であるIRS-2/pp190が存在し、欠損したIRS-1の作用の大部分を代替しているためであることを明らかにした。また、IRS-1欠損マウスのインスリン抵抗性の原因は骨格筋でのインスリン情報伝達障害であり、IRS-2の発現量が十分でないため欠損したIRS-1を完全には代償できないためと考えられた。また、脂肪細胞での糖の取り込みは、約50%に低下していたが、欠損したIRS-1を代償するのは肝臓や骨格筋の場合と異なりpp60/IRS-3であった。インスリン作用は、IRS-1,2,3などのIRSファミリー蛋白質の組織特異的発現やインスリン受容体との親和性の違い、細胞内局在の違いにより調節されていると考えられた。また、IRS-1欠損マウスをインスリン分泌低下型のモデルマウスであるグルコキナーゼ欠損マウスとかけあわせることによりインスリン抵抗性だけでは、高インスリン血症で代償されるため耐糖能障害をきたさないが、分泌低下のバックグラウンドでは耐糖能障害が憎悪し高血糖・糖尿病を発症することを明らかにした。
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