研究分担者 |
植木 浩二郎 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
鏑木 康志 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
為本 浩至 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
本田 律子 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
門脇 孝 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30185889)
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研究概要 |
我々は、インスリン抵抗性の機序を明らかにし、糖尿病の発症におけるインスリン抵抗性の役割を解明するため、インスリン受容体基質1(IRS-1)欠損マウスの作製・解析をすすめてきた。IRS-1の欠損マウスは、耐糖能障害を伴わない高インスリン血症、すなわち軽度のインスリン抵抗性を示すのみで、インスリン作用はかなりの部分保たれていることが明らかとなった(Tamemoto et al.,Nature372:182-186,1994)。さらにこの欠損したIRS-1を代償する新たなインスリン受容体キナーゼの基質として分子量190kDaの蛋白質pp190/IRS-2を同定した(Tobe et al.,J.Biol.Chem.270:5698-5701,1995)。IRS-1欠損マウスの肝臓ではIRS-2が十分発現しているためほぼインスリン作用が保たれ、骨格筋ではIRS-2の発現が少なく、インスリン作用は野生型の約30%に抵下していた。(Yamauchi et al.,Mol.Cell.Biol.16:3074-3084,1996)また、脂肪細胞でのインスリン作用は、約半分に低下し、言い換えれば、半分は保たれていたが、この機序はIRS-2ではなくIRS-3が、保たれているインスリン作用を伝えているものと考えられた(Kaburagi et al.,J.Biol.Chem.272:25839-25844,1997)。IRS-1が、どの臓器でもインスリン作用を伝達していること、IRS-2が肝臓での発現は多いが骨格筋では少ないため欠損マウスでは骨格筋でのインスリン抵抗性が生じたこと、IRS-3は脂肪細胞でIRS-1とは独立にインスリン作用を伝えていることが明らかとなりIRSファミリーのインスリンの標的臓器でのインスリン作用における役割が明らかとなった。
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