研究課題/領域番号 |
08457263
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40203707)
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研究分担者 |
横井 寿 名古屋大学, 医学部, 医員
有馬 廣 名古屋大学, 医学部, 医員
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キーワード | バゾプレシン / トランスジェニックラット / 遺伝子発現 |
研究概要 |
バソプレシン(AVP)の慢性的な過剰状態がもたらす生理機能の変化を調べる目的で、AVPを過剰に発現するトランスジェニック(Tg)ラットを作出した。ヒトAVP genomic DNAをマウスmetallothionein-I promoterの下流に接続しSDラットの受精卵に注入してTgラットを作出した。F0世代の同定はPCRと尿中AVPのradioimmunoassayにより確認した。これらF0世代を元にヘテロ及びホモ接合体を得た。G1世代において基礎値の血中及び尿中のAVP濃度を測定した。またAVPのプロセシングが正常に行われていることを確認する目的でAVPの分子量の検討を限外濾過法により行った。胎児43匹中、13匹にtransgeneの導入が認められ、そのうちでAVPを高発現する四匹を選びG1およびG2世代を得た。G1世代においてAVP分泌はコントロール群に対し血中および尿中でいずれも4-5倍に増加していた。コントロール群において尿中AVPは基礎状態に比べ絶水にて増加し、液体食にて著名に抑制された。一方、基礎状態を含め、すべての条件においてTgラットの尿中AVPはコントロール群より多かった。Tgラットにおいては尿中AVPは絶水によっても高値のまま有意な変化はみられず、液体食にてやや低下するもののコントロール群でみられたような強い抑制は受けなかった。さらに、亜鉛・液体食同時投与はコントロール群では液体食群と同程度に尿中AVPを抑制したが、Tgラットでは逆に尿中AVPを増加させた。またTgラットの尿中AZPの限外濾過率は標準AVPと同じでありその分量は標準AVPに近いことが示された。以上より今回作出したTgラットでは正しくプロセシングされた正常構造を持つAVPが基礎状態においても正常の4-5倍分泌されていることが確認された。
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