研究課題/領域番号 |
08457266
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡 芳知 山口大学, 医学部, 教授 (70175256)
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研究分担者 |
竹内 康雄 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
竹内 秀夫 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
植田 浩平 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | インスリン / 糖輸送 / 糖輸送担体 / アデノウイルスベクター / PI3キナーゼ / グルコキナーゼ |
研究概要 |
インスリンによる代謝への作用機構の解析においては、もはや分裂しない分化した細胞への遺伝子導入発現が困難であることが障害となってきた。我々はアデノウイルスベクターを用い、また種々感染方法を工夫し、分化した脂肪細胞(3T3L1細胞)への組み替えアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入発現を世界に先駆けて成功させた。この方法を用い、脂肪細胞にPI3キナーゼの活性ユニットであるP110サブユニットを過剰発現させると、未感染細胞(あるいは対照としたLacZ発現細胞)をインスリンで最大に刺激した時の糖輸送活性をしのぐ著名な糖輸送活性の上昇が認められた。この時には細胞内から細胞膜への糖輸送担体の移動(トランスロケーション)と、細胞内でのPI3キナーゼ活性の上昇が認められた。インスリン添加によりさらに糖輸送活性は上昇(約2倍)したが、さらなるトランスロケーションは生じなかった。これより、PI3キナーゼの活性化、特に細胞内での活性化が糖輸送促進に重要であり、この活性はトランスロケーションに加えて糖輸送担体自体の活性化も引き起こしていると考えられた。インスリンによる糖輸送促進機構におけるPI3キナーゼ活性化の重要性は、PI3キナーゼの活性化を阻害するdominant negative なP85サブユニットを発現させた実験により、さらに確認された。また、Rasの活性化はインスリンによる急性の糖輸送促進には関与しないことを明らかにした。肝の糖代謝系解析においても、組み替えアデノウイルスがきわめて有用であった。ラット単離肝細胞にグルコキナーゼの肝タイプを発現させ、グルコキナーゼ(GK)が肝解糖系の律速酵素(GK,PFK,PK)のなかでもっとも重要であることを明確に示した。さらに、膵β細胞タイプGKの発現の場合と比較することにより、肝タイプと膵β細胞タイプで異なるN末端の14-15アミノ酸からなる部位の役割を解析した。
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