研究課題/領域番号 |
08457267
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
桑島 正道 徳島大学, 医学部, 助教授 (00205262)
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研究分担者 |
時野 隆至 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40202197)
村上 尚 徳島大学, 医学部・付属病院, 助手 (40210009)
野間 喜彦 徳島大学, 医学部・付属病院, 講師 (10218349)
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キーワード | カルニチン / カルニチン輸送担体 / 心肥大 / 低血糖症 |
研究概要 |
カルニチンのin vivoにおける役割は明確でなく、不明な点が多かった。しかしこのような否定的な認識は、私共の見い出した全身性カルニチン欠乏マウス(JVSマウス)の出現により一変した。 このJVSマウスは、脂肪肝、高アンモニア血症、低血糖症、心肥大、骨格筋変性などの症状を合併している。 我々は全身組織の組織学的、生化学的、分子生物学的分析をすすめながら、上記の多彩な症状とカルニチン欠乏との関係を研究している。 本年度の研究において明確になった点は次のことである。 1)JVSマウスにおいては、生後2週齢より早くも心重量、心体重比ともに対照に比し大きくなっていた。心筋細胞の肥大が見られ、また核が大きくなる傾向があった。電顕像では核はやや肥大しミトコンドリア増加の著明な細胞も少なくなかった。また、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)I,CPT IIのmRNAの発見に異常がみられた。 2)JVSマウスでは低血糖症がみられる。そこで肝での糖代謝系の分析を行った。その結果、グルコース6-ホスファターゼやホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの活性は上昇しているので、糖新生時のフラックスは亢進していると考えられた。 3)JVSマウスにおいては血中カルニチン濃度が低下しているにもかかわらず、尿中のカルニチン排泄が低下していなかった。腎臓スライスにおけるカルニチン輸送活性を測定したところ、JVSマウスにおいてはナトリウム依存性のカルニチン輸送活性が低下していることが明らかとなった。また、JVSマウスの線維芽細胞において、高親和性のカルニチン輸送活性が消失していることを見い出した。 4)JVSマウスの症状は常染色体劣性の遺伝形式で伝わり、疾患遺伝子(JVS遺伝子)は単一であると考えられている。連鎖解析の結果、JVS遺伝子はマウス第11番染色体上に存在することを見い出した。
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