以下に述べるように、1年目の到達目標をほぼ達成し、引き続き実験を継続中である。 1.XIII因子aサブユニットの遺伝子変異の同定と発現ベクターの作製 現在までにaサブユニットの遺伝子異常を5種類同定した。その内、aサブユニットの変異3種類は転写やmRNAのプロセッシングや安定性に関係したものであったが、残りの2種類はアミノ酸置換を伴うものであるので、発現ベクターを構築し、大量に作製したところである。今後、このベクターを哺乳類細胞に導入して細胞生物学的、蛋白質化学的解析を行なう予定である。 2.aサブユニットの5'-発現調節領域の解析 aサブユニット遺伝子の5'-領域約2.5Kbとその様々な欠失DNA断片(約10種類)をCATレポーターベクターに挿入し、発現活性を調べたところ、翻訳開始部位の上流約200bpの範囲にプロモーター活性が存在することが判明した。そこで、この領域を中心に数種類のDNA断片を作製し、フットプリンティング、ゲルシフトアッセイなどの手法を駆使して、転写因子モチーフの同定を行ないつつある。 3.aサブユニットを発現する細胞株の同定とサイトカインによる発現誘導 ヒト白血病細胞株を中心にaサブユニットを生合成する10数種類の細胞を検索し、数種類が陽性であることを発見した。今後は、これらの細胞株に各種のサイトカインを投与して、発現の変化、培養液中に放出されるaサブユニットの変化などを調べ、放出機構を解明する端緒をつかみたい。
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