研究課題/領域番号 |
08457281
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
福原 資郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (40142301)
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研究分担者 |
加藤 規子 関西医科大学, 医学部, 助手 (10252785)
野村 昌作 関西医科大学, 医学部, 講師 (20218358)
岸本 祐司 関西医科大学, 医学部, 講師 (70204857)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / MLF1遺伝子 / NPM-MLF1キメラ遺伝子 / 急性骨髄性白血病 / 分子機能解析 / アポトーシス / 白血病移行 |
研究概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)の段階を経て急性骨髄性白血病(AML)に至るt(3;5)転座から、原因遺伝子NPM-MLF1および野生型MLF1を単離し、機能解析から以下を明らかにした。 1. 未分化骨髄細胞株およびマウス線維芽細胞株へのNPM-MLF1導入発現は、分化を阻止しアポトーシスによる細胞死を誘導すること、この細胞死はBcl-2の導入共発現により回避されるばかりでなく、細胞は増殖傾向を示すことを見いだした。また、細胞死誘導には(1)細胞質蛋白であるMLFlが、核局在シグナルを有し核-細胞質シャトル蛋白であるNPMとキメラを構成し、核に移行することが必須であり、さらに(2)MLF1蛋白N端にアポトーシス誘導必須ドメインが存在することが解った。また、(3)NPMのN端部位には二量体形成に必要なドメインが存在し、二量体形成によりアポトーシス誘導能は増強される。 2. 細胞株を用いたRT-PCR法による定量化を各種造血器疾患例に適応し、野生型MLF1の発現傾向を調べた。AMLでは比較的未分化段階およびpost-MDS AMLの約半数において発現レベルの亢進があり、MDSでもRAEB・RAEB-Tの白血病移行頻度が高いハイリスク群で約半数に発現亢進を認め、t(3;5)陰性症例においてもMDS病態と関連してMLF1の発現が亢進する傾向がみられた。また、造血幹細胞の増殖と分化におけるMLF1の動態を、正常骨髄細胞より磁気ビーズにてCD34+幹細胞および各分化系列に分離し検討すると、CD34+細胞にのみ発現を認め、各血球系列への分化に伴い漸次発現が消退した。 本研究での所見はNPM-MLF1蛋白は幹細胞に近いレベルで細胞分化を細胞死誘導により阻害することによりMDSという無効造血状態を引き起こし、付加的異常を伴って細胞をがん化に導く多段階発がん機構の一端を示唆する。また、MLF1部N端にアポトーシス誘導必須ドメインが存在することから、NPM-MLF1/MLF1関連伝達系機構を明らかにしたい。
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