研究概要 |
相同性の高いG1 cyclinであるcyclin D1,D2,D3について、種々の分化段階の造血器腫瘍での発現をノーザン解析し、リンパ系細胞にはG1サイクリンが系統により使い分けられており、分化に対し何らかの役割を担っていることを報告した。今回、cyclin D1の過剰発現症例には 異転写産物が発現されていることを見いだした。構造上C末端側の約30アミノ酸が変化しており、半減期に何らかの影響を与えることが示唆された。 また、び慢性大細胞型リンパ腫について、BCL1,BCL2,BCL6再構成について検討し、亜分類を形成するかについて検討したが、これらの遺伝子変化の観点からは特徴的な病態は浮かび上がってこなかった。 MLL遺伝子は種々の転座相手遺伝子とキメラ遺伝子を形成するが、t(6;11)転座型MLLキメラ遺伝子について検討した。特異抗体を用いて細胞内分布を調べ、核に局在することを明らかにした。すなわち、キメラMLLは転座相手遺伝子に関わらず核内で機能することがわかった。これまで、キメラ蛋白を発現させることはできなかったが、今回、IPTG発現誘導系を用いて誘導発現に成功した。今後、機能的解析並びに、キメラ遺伝子の標的遺伝子について検討する手がかりをつくった。
|