3-デオキシグルコソン(3-DG)はメイラード反応の活性中間体としてin vitroにおいて同定されたものであり、グルコースに比較してAdvanced Glycation End products(AGE)形成がはるかに速やかで強力である。糖尿病の合併症の発症機序としてメイラード反応によるAGE形成が注目されている。我々は、3-DGがヒトの血清中に存在することおよび正常者に比較して糖尿病患者、特に糖尿病性腎症患者で増加していることを発見した。さらに慢性腎不全患者、特に透析患者では糖尿病患者より血清3-DG濃度が増加していることを認めた。また我々は、新しいAGEであるイミダゾロンに対するモノクローナル抗体を作成し、透析アミロイド組織にイミダゾロンが局在することを免疫組織化学により証明した。3-DGとβ2Mをインキュベートするとβ2Mがイミダゾロン化されることを認めた。長期透析患者の心臓内にβ2Mアミロイドが局在することを証明した。さらにこのβ2Mアミロイドがイミダゾロン化されていることを明らかにした。 我々は、糖尿病性腎不全患者の赤血球内の3-DG濃度およびイミダゾロン化ヘモグロビンが正常者に比較して著明に高いことを明らかにした。 血清3-DG濃度が糖尿病性腎症患者および透析患者において著明に増加していることから、これらの疾患においてAGE化による合併症の進展に3-DGが重要な役割を果たしていると考えられる。
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