研究課題/領域番号 |
08457298
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
小玉 正智 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50079836)
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研究分担者 |
江口 豊 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00263054)
岸田 明博 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10204851)
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キーワード | ハイブリッド人工肝臓 / 高密度灌流培養 / コラーゲンゲル / 肝細胞 / ホローファイバー型モジュール |
研究概要 |
申請者らは、肝機能の主体である肝細胞のコラーゲンゲル内高密度灌流培養法を開発し、これを応用したハイブリッド人工肝臓を作製した。人工肝モジュールは、コラゲナーゼ消化法によって分離した肝細胞をコラーゲンゲルに包埋し、ホローファイバー型モジュールの中空糸外腔に充填したものである。昨年度までにラットおよびウサギによる肝不全または無肝モデルにおいてこの人工肝モジュールの有効性を実証してきた。さらに本年度は、臨床応用に向けて、さらに大型の5.4×10^9個のブタ肝細胞を有する人工肝モジュールを作製し、その機能評価としてブタ肝不全血漿を用いた灌流実験およびブタ肝不全モデルに対する体外循環による肝補助実験を施行し、以下の知見を得た。 ブタ急性虚血性肝不全モデルより採取した肝不全血漿の灌流実験では、本モジュールは1334.0μg/hr/moduleのアンモニア処理能を認めた。また、灌流12時間後にプロトロンビン時間、フィッシャー比乳酸値の改善を認めた。 また、ブタ急性虚血性肝不全モデルに対し、肝補助として体外循環下に人工肝モジュールを12時間使用した。肝補助群では非肝補助群に比べ有為な血中アンモニアの上昇抑制、血中乳酸値の上昇の抑制を認めた。 さらに、生存時間では非肝補助群の15.8時間に対し肝補助群では31.2時間と有為な延長を認めた。 以上より、申請者らが開発した人工肝モジュールを用いた肝補助システムが解毒能・合成能・代謝能を有する新たなシステムとして有効であることが示唆された。現在、より詳細な肝機能補助効果と宿主への影響や安全性について検討中である。
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