研究概要 |
我々は、これまでに広域腎移植ネットワークで臨床応用可能な簡便、迅速、正確なHLA-DNAタイピング法、TMA-HPA(Hybridization Protection Assay)法を開発してきた。今回は、特異的なDNA増幅が容易なPCR(Polymerase Chain Reaction)法を利用し、更に高精度なタイピングが可能かどうか検討した。これまで、TMA法により増幅したRNA産物を、30種類のプローブ(DRB1用22種、DRB3〜B5用7種、陽性対照1種)とHPA法を用いて反応させ、HLA-DRB1,B3〜B5アリルタイピングを実施した。さらに今回は、DR356に特異的なプライマーを作成し、PCR法によりDNA増幅を行い、DR356に特異的なプローブと反応させることにより、DR13,DR14の121種類のDNAサンプルについてタイピング精度を検討した。その結果、DRB1^*13では、DRB1^*1301〜1307、1310〜1312の10アリルが、DRB1^*14では、1401〜1408,1411,1412,1417の11アリルの判定が可能であった。一方、一部のアリルの組合せ(1301/02,1401/1407,1101/1104など)では、さらにプライマーの開発が必要であった。PCR-HPA法は、特異的プライマーを併用することにより、短時間に、高精度のHLA-DRB1アリルタイピングが可能であり、迅速な対応を要する非血縁者間臓器移植において有力なHLA-DNAタイピング法であると思われた。
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