研究課題/領域番号 |
08457315
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小針 雅男 東北大学, 医学部, 講師 (30170369)
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研究分担者 |
江川 新一 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (00270679)
砂村 眞琴 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10201584)
武田 和憲 東北大学, 医学部, 講師 (20171639)
松野 正紀 東北大学, 医学部, 教授 (80004737)
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キーワード | 膵癌 / 遺伝子治療 / 自殺遺伝子 / 遺伝子免疫療法 / 遺伝子導入効率 / 腫瘍ワクチン |
研究概要 |
平成9年度は、膵癌に対する切除術後の強力な補助治療法を確立することを目的として、遺伝子治療の基本的な検討を行った。そのひとつは遺伝子免疫療法の開発であり、接着分子のB7遺伝子およびinterferon-γ遺伝子を二重に癌細胞に導入することにより内因性のclass.1抗原の発現が増強し、これまでLAK細胞やB7遺伝子単独では得ることができなかった低免疫原性腺癌colon26細胞を空腹時に投与すると、皮下のwild typeの腫瘍の増殖が優位に抑制され、今後の遺伝子免疫療法の臨床に応用可能であると考えられた。 もうひとつは自殺遺伝子による癌化学療法の開発であり、最近開発された6種類のcationic liposome、センダイウイルスとliposomeの複合体であるfusogenic liposome(大阪大学薬学部真弓教授より分与)、およびアデノウイルスベクターを用いて膵癌細胞に対する遺伝子導入効率を比較するとともに、citosine deaminase(CD)遺伝子とCEA promoter geneを導入した膵癌細胞に対するprodrugである5-FCのin vitroでの増殖抑制効果およびヒト膵癌細胞株AsPc-1の腹膜播種モデルに対する増殖抑制効果の検討を行った。その結果、遺伝子導入を行うにはアデノウイルス、fusogenic liposomeが100-80%の細胞に導入される点で優れており、 cationic liposomeは最も効率の良いDOGS liposomeを用いても20%前後の導入効率であった。In vivoではcationic liposomeにより腫瘍組織内に特異的に遺伝子発現が観察されたが、prodrugの5-FCによる増殖制御効果は得られず、今後viral vectorやfusogenic liposomeによるin vivoでの遺伝子導入を試みるとともにより強い抗腫瘍効果を持つpro-drugおよび膵癌でのby-stander効果を増強させるような方法の開発が必要であることが示唆された。
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