研究課題/領域番号 |
08457321
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 正之 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30158307)
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研究分担者 |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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キーワード | 近赤外光スペクトロスコピー / 肝組織内SO2 / ICAM-1 / アデノウイルスベクター / ミオグロビン / 術後肝不全 / エンドトキシン肝障害 / クレアチンキナーゼ |
研究概要 |
近赤外光スペクトロスコピーを用いた肝組織内SO2の術後連続測定に関しては、未だに応用例がなかったが、今回、従来、肝移植の禁忌と考えられていた末期肝不全に合併する高度肺内シャント症例の肝移植の術中術後に、新たに開発した体内留置型ファイバーを用いて連続的に肝組織内SO2を測定した。その結果、重症低酸素血症であっても代償的なヘマトクリットの上昇により肝組織内SO2は、比較的維持され、肝組織内SO2が20%まで低下した症例においてもグラフト肝は、耐術できることが判明した。これらの結果により組織内SO2の周術期測定は重症肝肺症候群を伴う肝不全症例における肝移植の適応を明らかにした。 術後肝不全の背景に感染症によってもたらされるSIRSの病態が存在することが明らかになっているので、エンドトキシン肝障害モデルにおける接着分子の発現をクレアチンキナーゼを肝特異的に発現させたトランスジェニックマウスにおいて検討した。このトランスジェニックマウスは、ATPのリザーバーとなるフォスフォクアチンが肝臓に集積されエンドトキシン耐性が誘導された。その機序として、肝細胞のICAM-1の発現、更にラジカル産生が抑制されていることが判明した。これらの結果は、肝臓のエネルギー状態が肝細胞の接着分子の発現に影響すること15EA03:肝臓外科では、血行遮断が行われることが多く、長時間の肝阻血は、肝臓に不可逆な変化をもたらし、術後肝不全を発症させる。肝阻血による肝障害を軽減させる肝障害を軽減させる目的で、本来肝臓に存在しないO_2のリザーバーを実現させるべく、アデノウィルスベクターによりミオグロビン遺伝子を肝臓に導入した。ミオグロビン遺伝子の発現をRT-PCR、免疫組織染色により確認し、その結果細胞内及び肝組織におけるATPが高値となることが判明した。これらの結果は、肝臓強化の方法として肝臓外科に応用可能と期待される。
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