研究課題/領域番号 |
08457325
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
永末 直文 島根医科大学, 医学部, 教授 (40117198)
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研究分担者 |
山野井 彰 島根医科大学, 医学部, 助手 (70281152)
久保田 博文 島根医科大学, 医学部, 講師 (00205147)
河野 仁志 島根医科大学, 医学部, 助教授 (60145951)
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キーワード | 肝細胞癌 / アンドロゲン / アンドロゲン受容体 / ヌードマウス / 細胞培養 / 抗アンドロゲン療法 / TGF-β_1 / アポトーシス |
研究概要 |
アンドロゲン受容体(AR)陽性ヒト肝癌株SM10をヌードマウス皮下に移植し、その腫瘍増殖をみると健常オス、去睾オスにdihydrotestosterone(DHT)を投与した群に比べ、去睾オス、健常メスでは有意に増殖抑制がみられた。しかしAR陰性株SM2ではこのような差はみられなかった。腫瘍内のARは去睾により低下し、DHT投与により回復した。proliferating cell unclear antigen(PCNA)で細胞増殖を、またLewis^Y抗原でアポトーシスをみると去睾オスとメスでPCNAの低下がみられたが、Lewis^Y抗原には差はみられなかった。以上よりAR陽性株SM10の増殖はアンドロゲンにより促進され、その機序はARを介して発現していることが判明した。 次いでSM10株を用いてcyproterone acetate(CPA)による抗アンドロゲン療法を試みた。CPA0.8mg/day投与により腫瘍増殖はほとんど完全に抑制され、これはPCNAと並行した。腫瘍中のTGF-αの発現には有意な変化はみられなかったが、治療群では3日目をピークに腫瘍内のTGF-β_1の発現は有意に高まり、apoptotic body(TUNEL法)の出現が並行してみられた。以上よりSM10に対するCPAの効果は腫瘍内TGF-β_1の過剰発現によるアポトーシスとG1期の細胞回転の停止によることが判明した。 次いでARを少量保有するヒト肝癌株KYN-1より7種類の亜株を樹立し、細胞培養法でDHTの影響を観察した。AR陰性の4株の増殖は種々の濃度のDHTで何ら影響を受けなかったが、AR陽性3株の中2株ではDHTは容量依存性に細胞増殖を亢進した。しかし他の1株ではDHTに対する反応性はみられなかった。以上より同一腫瘍由来の亜株にはARの有無、またAR陽性細胞でもDHTに対する反応において不均一性があることが明かとなった。
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