研究課題/領域番号 |
08457325
|
研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
永末 直文 島根医科大学, 医学部, 教授 (40117198)
|
研究分担者 |
山野井 彰 島根医科大学, 医学部, 助手 (70281152)
久保田 博文 島根医科大学, 医学部, 講師 (00205147)
河野 仁志 島根医科大学, 医学部, 助教授 (60145951)
|
キーワード | 肝細胞癌 / アンドロゲン / 腫瘍血管新生 / VEGF / PDECGF / ユ-ドマウス / 細胞培養 / 抗アンドロゲン療法 |
研究概要 |
平成8年度においてAR陽性ヒト肝癌の増殖はアンドロゲンにより促進、抗アンドロゲン療法により抑制され、この様な効果はARを介して発現することを明らかにした。さらにARの拮抗剤であるcyproterone acetate(CPA)投与によって起こるAR陽性肝癌の増殖の抑制とアポトーシスは腫瘍のTGF-β_1の発現亢進による可能性を示した。平成9年度には、AR陽性肝癌に対する抗アンドロゲン療法が腫瘍血管新生に与える影響を調べようと試みた。教室の肝切除例を用いてPCNAとLewis Y抗原の同時検索が、肝癌のcell kineticsの評価に有用なこと、5cm医科の小型肝癌ではTGF-β_1発現は増殖抑制的に働くことを示した。さらに肝癌根治切除後の残肝再発率は男性(82%)が女性(62%)に比べ高く、脈管侵襲がこれに関与していることを示した。さらにvascular endothelial growth factor(VEGF)およびplatelet-derived endothelial growth factor(PDECGF)が肝癌の血管新生因子となっているか否かを検討し、ともに腫瘍のmicrovessel density(MVD)とは直接的な関係がないことを明らかにした。しかし、前者は硬変肝、後者はC型肝炎の血管新生に関与していることを明らかにし、間接的にはヒト肝発癌に関与している可能性を示した。両研究とも抗FactorVIIIで染色される比較的大きな血管のMVDが肝切除後の患者の予後に影響することを明らかにした。現在、教室で樹立したAR陽性ヒト肝癌(AY-1)をヌードマウスに移植して、hormonal manipulationが腫瘍血管新生に及ぼす影響と5α-reductase阻害剤の抗腫瘍効果を検討中である。さらにFarber法によるラット肝発癌モデルを用いて抗アンドロゲン療法の発癌予防効果を検討中であり、これらのデータは平成10年度に得られるものと期待している。
|