研究課題/領域番号 |
08457326
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 正樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (70190999)
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研究分担者 |
大塚 誠 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60203840)
吉河 康二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (80124816)
山懸 基維 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90294975)
原口 勝 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (40228531)
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キーワード | 消化器癌 / 乳癌 / 遺伝子診断 / 微量癌細胞 / 分子生物学 / RT-PCR / 再発 / 予後 |
研究概要 |
1.リンパ節における微量癌細胞の検出:平成8年度より更に症例数を増やし125例の手術症例より700個のリンパ節を摘出し半分を組織診断(HD)、残り半分をRT-PCR法による遺伝子診断(GD)に用いた。各症例を(HD/GD)の組みあわせでみると(+/+)47例、(-/+)51例、(-/-)27例で(+/-)はなかった。再発率は(-/-)では0%、(+/+)では37%であったが(-/+)でも10%であり注目された。この事は以前よりリンパ節転移なしと診断された症例からも約10-20%に再発がおこることを支持した所見と考えられる。以上よりRT-PCR法による遺伝子診断で、組織診断では発見できない転移を検出できる事が示された。 2.末梢血中の微量癌細胞の検出:128例の癌患者の末梢血2mlをRT-PCR法で調べた。その結果、CEAmRNAの発現は対照健常者0%、治癒切除例19%、非治癒切除例59%、再発例79%であった。治癒切除67例中CEA陰性の52例は全く再発していないが、陽性15例では4例が再発した。この事は治癒切除例でも血中CEA遺伝子検出が陽性であれば再発率が高いことを示唆している。以上よりわずかの量の末梢血液より癌細胞の血中流入が判断でき、これが再発予測に活用できる事が示された。 3.化学療法の効果判定の応用:食道癌、胃癌患者12名の化学療法前後で血中のCEA遺伝子検出を行った。CR1例では術前CEA(+)がCEA(-)に変化した。これはpreliminaryであるが今後応用が期待できる分野である。 以上、現時点でCEAを標的としたRT-PCR法はリンパ節や末梢血液中のわずかな癌細胞を検出できる事、臨床的にもその応用が重要となり得る事が明らかとなった。
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