研究概要 |
導入効率が良くかつ感染のコントロールが容易なHerpes Simplex Virus Type 1 defective viral vectorにIL-2を組み込み,その発現実験と癌性腹膜炎の治療実験を行い有望な知見を得た. 1.HSV/IL-2の作製 HSV vectorのcytomealo- virus promotorの下流のcloning siteにhuman IL-2またはそのanti-senseを組み込んだ(以下HSV/IL-2).Virus粒子の作製はまず,Rabbit skin cellにHSV/IL-2をelectroporation法にて導入した.Helper virusのsuper infectionは31℃培養下で感染増殖し37℃では増殖できない温度感受性株を用いた.細胞からvirus液を回収しVero cellに感染させ継代増幅し実験に用いた. 2.In vitro experiment 人胃癌細胞株であるMKN45をHSV/IL-2と培養し,培養上清中へのIL-2の産生をELISA法にて測定した.感染効率に応じ高濃度のIL-2の産生を認めた. 3.In vivo experiment Day 0にMKN45細胞5x10^6個をnude mouseの腹腔内に投与して腹膜転移モデルを作製した.腫瘍移植時(pretreatment),また7,14,21日後にHSV/IL-2を腹腔内投与し,control群やanti-sense投与群と生存率を比較した.PretreatmentではIL-2 vector投与を受けた群では腫瘍は生着せず全例生存し,一方anti-sense vectorには効果はなく,control群と有意な差はなかった.Day 7のHSV/IL-2投与では50%が,day 14の投与では25%が生存した.
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